ポートランドにつくといきなり最初の壁が立ちふさがりました。入国審査です。
 観光目的なのに滞在3ヶ月。ビザのいらない限度ぎりぎり……怪しいのは無理もありません。矢継ぎ早の質問攻めにあいました。

「3カ月? どこに泊まるのか? 所持金は?」

 まるで自分が犯罪者になったかのような気分です。

〈これからどこに泊まるかなんて、そんなの自分でも知らないよ。本当の所持金を言ったら困ったことになるだろうな。とにかく、焦ったそぶりを見せるのはまずい……〉

 ここを切り抜けるには、世界共通言語の「笑顔」だと思いました。

「自然が好き。キャンプをする。だから、お金かからない。クレジットカードを持ってる。銀行にはたくさんお金がある……」とかなんとか、精一杯の笑顔で並べ立てていると、パスポートにスタンプを押して通してくれました。

 あんなので、納得してくれたのでしょうか? それとも初めてのアメリカ入国だったので今回だけは大目に見てくれたのでしょうか?

 理由はともかく、きり抜けることができて、ほっとしました。でも、審査官に「ありがとう」と告げたときのぼくの顔は、ひきつっていたにちがいありません。

この連載の前回の
記事を見る

この連載の次の
記事を見る