第6回 初めてのアメリカ 前編

 案内所の人にバスがないと言われ、途方に暮れてしまいました。

 が、それは、イリーまでのバスはグレイハンドでは扱っていないという意味ではないかと考え直しました。それが納得できる唯一の理由だったのです。

 つまり、グレイハウンドは長距離バスです。同じ州内とはいっても、ミネソタは東西400キロ、南北は645キロもあります。日本の「県内」というサイズとは比較になりません。

 自分のしていることは、たとえば、新宿の高速バス乗り場で、東北の山間部のバスのスケジュールを聞いているようなものかもしれない。だから、案内所の人がイリーまでの行き方を知らなくてもしかたがないのだろうと、考えたのです。

 ならば、もうすこし近くまでいかないと、イリーまでの行き方もわからないでしょう。せめて岩手県なり、秋田県なりの県庁ぐらいまでは行ってみないと。だから、とりあえずダルースまで行ってみることに間違いはないように思えました。

 ユースホステルに戻って調べてみると、ダルースにも安宿があることがわかりました。

 宿の名前は「ヒルサイド・ホステル・インターナショナル」。

 ほっと一安心です。ユースホステルがあるなら滞在費もそれほどかからないだろうと踏んだのです。

つづく

大竹英洋

大竹英洋(おおたけ ひでひろ)

1975年生まれ。写真家。一橋大学社会学部卒業。1999年に米国のミネソタ州を訪れて以降、北アメリカ大陸北部に広がる湖水地方「ノースウッズ」の森に魅せられ、野生動物や人々の暮らしを撮り続けている。主な著書に『ノースウッズの森で』(「たくさんのふしぎ傑作集」)、『春をさがして カヌーの旅』(「たくさんのふしぎ」2006年4月号)、『もりのどうぶつ』(「こどものとも 0.1.2.」2009年12月号)(以上、すべて福音館書店)などがある。また、2011年3月NHK BSの自然ドキュメンタリー番組「ワイルドライフ カナダ ノースウッズ バイソン群れる原生林を行く」に案内人として出演。近著は「森のおく 湖のほとり ノースウッズを旅して」(月刊 たくさんのふしぎ 2012年 09月号)
本人によるブログは「hidehiro otake photography」