第2回 「しんかい」に乗って奇跡の旅へ
――場所は岩手県三陸沖の日本海溝。
ええ、いまにして思うと、東日本大震災の震源地の近くなんです。
――海へ出ても、潜れないということもあるんでしょう?
海が荒れていたら潜れないし、潮流も関係するみたいです。
潜れたとしても「何もいないかもしれないよ」といわれていました。海のなかの視界が悪いと何も見えないし、海底に着いてもタイミングが悪ければ生きものたちに出会えない。
せめて、白いカニとかチューブワームとかがいたらいいよねくらいの話でしたから、潜れることも奇跡なら、生きものに出会うことも奇跡。
――で、どんな生きものたちと出会えたんですか?
深海は、水深1000mくらいのところに、おもしろい生きものがたくさんいるんですね。それで降りていくと、1000m単位で“流行りの生きもの”が変わってくるんです。マリンスノーのなかに変なエビとかクラゲとかがいっぱいいて、3000mくらいのところでは、オレンジ色のエビがいっぱいいました。
4000mくらいが一番変で、名前が確定していないそうですが、クリスマスツリー型の光る生きものがたくさんいるんです。本当に、アメリカのクリスマスイルミネーションみたい。でも、4000mを超えるとそれがいなくなるんです。