第10話 ついてらっしゃい! 子馬の調教開始
さて、親離れをさせた子馬たち、ニーナとシンコーの話に戻ろう。
あの後、子馬たちの様子も落ち着いてきたので、一頭ずつそれぞれの馬房に入れてやることにしたのだが、それから一週間、実は、彼らを馬房に入れっ放しにしていた。
一度も外に出してやっていないのだ。
毎日、餌をあげる度に、シンコーはうんざりという退屈な顔をしていて、ニーナの方は、いつまで、こんな狭い所に閉じ込めるつもりだ~」と、私を睨んでいた。
これは、げじげじ髭のボスの意向で、これから、ちょくちょく入ることになる馬房に慣れさせることと、その場所が安全であることを教えるためである。
一週間も入っていると、自分の糞尿でもの凄い状態になっているが、それも計算済み。壁や床に自分の匂い付けをして、またそこに入る際に、「あ~、自分の匂いだ~、あんしんだ~」と、思わせるためなのである。