カナダの太平洋沿岸部には、先住民が見守り続けてきた、神秘的な白いアメリカクロクマがいる。

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森の精霊 スピリット・ベア

カナダの太平洋沿岸部には、先住民が見守り続けてきた、神秘的な白いアメリカクロクマがいる。

文=ブルース・バーコット  写真=ポール・ニックレン

 カナダ西部、太平洋に面したブリティッシュ・コロンビア州の苔むした森に、白い毛に覆われたクマが暮らしている。先住民が「スピリット・ベア(精霊のクマ)」と呼ぶアメリカクロクマだ。その名前が示す通り、アメリカクロクマの体毛は普通、黒色か褐色をしている。しかし、劣性遺伝により、白い体毛の個体が生まれることがあるのだ。

 先住民たちはその希少さ・神秘さから、白いクマを恐れ敬い、仲間の間でさえ、話題にすることが許されなかったという。ヨーロッパの毛皮商人たちがこの一帯に押し寄せ、アメリカクロクマやハイイログマを大量に狩っていた時代でも、先住民たちは白いクマの存在を他言しなかったのだ。

 こうしてひそやかに守られてきたスピリット・ベア。緑豊かな森に暮らす白い精霊の素顔を少しのぞいてみよう。

編集者から

“白いクロクマ”というのは矛盾した言葉です。それはたとえば、“黒いホッキョクグマ”と言っているのと同じようなもの。そう考えると、このクマがいかに風変わりか実感しやすいかもしれません。
 特集内には、クマたちの猛々しい姿と愛らしい表情が満載です。カナダの先住民たちがクマを守るために実践した、“話さない”環境保護にも注目してください。(編集M.N)

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