最後の手がかりは、『ブラザー・ウルフ』の裏表紙に描かれていた、手書きの絵地図です。

 セピア色の紙の上に、大小さまざまな湖が描かれ、小川やトレイルが線で描かれていました。そのなかに、オオカミの足跡や、キツネの巣、ビーバーダム、ブルーベリーの丘などが記されています。きっとジムの撮影フィールドの地図だろうと察しました。よく見ると木立の中に家らしきものが描かれています。そこがジムの住む小屋なのかもしれません。

 本に載せて公表してあるぐらいだから、デフォルメされているはずだし、どこまで正確なものかはわかりません。でも、もしこの地図の家が本当にジムの暮らす小屋だとしたら、最も詳細な手がかりとなるかもしれない、貴重な情報源でした。

 この3つの手がかり以外にもなにかヒントになることはないかと、調べていると、神保町の大型書店でミネソタ州の地図が手に入りました。

 イリーの町を探すとすぐに見つかりました。カナダとの国境に近い、北の果てにありました。点の大きさから言って、小さな田舎町のようです。州の地図では縮尺が小さすぎて、『ナショナル ジオグラフィック』に載っていた地図以上に周辺の様子を知ることはできませんでした。

 アメリカのガイドブックも手当たり次第に拾い読みしてみました。が、ミネソタ州の情報はほとんどがミネアポリス周辺ばかりで、北部の森林地帯の情報など全く見つかりませんでした。もちろんイリーまでの行き方なんてどこにも書いてありません。

 しかし、情報がないということは、かえって好奇心を刺激し、いったいどんなところなのか、はやくこの目で確かめてみたくなりました。自分の集めた情報をなぞるだけの旅なんてつまらない。遠い日本では情報がなくても、近くまで行けばきっと、より詳しい情報が手に入るはずです。とりあえず州都のミネアポリスまで行って、続きはまたそこで調べてみることにしました。

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