日本人が作った森 「明治神宮」 後編

南参道の入り口付近。創建時は鳥居よりも背の高い樹木は数えるほどだったが(上)、現在は鳥居を覆い隠すほどに樹木が成長している(下)。 写真:明治神宮(上)、TOMO HASEGAWA(下)(クリックで拡大)

 第2段階では、林冠の最上部を占めていたアカマツやクロマツが、下から伸びてきた針葉樹に圧倒されて次第に枯れていく。数十年後には、台頭してきたヒノキやサワラなどの針葉樹が最上部を支配するようになる。在来樹種のマツは数カ所に点在するだけになる。

 続く第3段階では、とうとうカシやシイ、クスノキなどの常緑広葉樹が林相の中心を占め始める。その間に、ヒノキ、サワラ、スギなどが混生し、まれにアカマツやクロマツ、ケヤキなどが見られるといった状態になる。

 最後の第4段階では、カシやシイ、クスノキなどが主木としてさらに成長するとともに、2世代目の木が育ち、常緑広葉樹林が広がっていく。こうして主木が人手を介さず、自ら世代交代を繰り返す「天然林相」に到達したとき、森は完成する。

 荘厳な鎮守の森という様相を早期に実現し、風土に合った自然の森を100年以上もの時をかけて完成させていくという、見事なグランドデザインだ。この構想を、実に90 年も前の日本の学識者たちが描いていたのである。