第2回 森以上に課題を抱える日本の林業

 ここで、日本の森林が抱える課題がはっきりと見えてくる。林齢構成のピークにある30~50年生の木々は間伐を施すべき時期にある。が、労働力不足のためにまともな間伐ができないのである。あるいは、山の木をすべて切ってしまう「皆伐」を行った後、再植林をせずにハゲ山のまま放置するケースが続出している。

 日本には今、4万人程度の林業従事者がいるが、白石教授の試算によれば、この人数で維持管理できる森林面積は160 万ヘクタール程度という。日本の人工林1000 万ヘクタールのわずか6分の1だ。今後、様々な施策により生産性の向上が見込めるにしても、「現状の林業労働者で担える森林面積は300万ヘクタールが限界では」と、白石教授はみている。

 袋小路に入り込んだ日本の林業。だが国も黙って見ているわけではない。この状況を打破すべく、2009年に「森林・林業再生プラン」を打ち出した。白石教授も同プランの基本政策検討委員として名を連ねている。

林業経営の専門家を育てる

 「森林・林業再生プラン」は、三つの基本理念を掲げている。

 一つ目は、「森林の有する多面的機能の持続的発揮」。森林・林業に関わる人材を育成し、森林所有者の林業への関心を呼び戻し、森林を適切に整備・保全する。それによって、水源のかん養や地球温暖化の防止、生物多様性の保全、木材生産など、森林の持つ多面的な機能が持続的に発揮できるようにする。

 二つ目は、「林業・木材産業の地域資源創造型産業への再生」。林業・木材産業を国の成長戦略の中に位置付け、木材の安定供給や加工・流通体制を整備し、林業と木材産業を山村地域の基幹産業として育成する。

 三つ目は、「木材利用・エネルギー利用拡大による森林・林業の低炭素社会への貢献」。建材や家具などの木材加工品の素材として、あるいはバイオマス燃料として利用することにより、化石燃料の使用を減らし、低炭素社会の実現に貢献する。また、木材の利用を拡大することで、林業や木材関連産業が活性化し、ひいては森林の整備・保全を推進する。

 この三つの理念の下、具体的な施策が打ち出された。まず、森林の管理や木材生産を効率化するため、路網(林道)と林業機械を組み合わせた作業システムの導入を進める。各地域の条件に応じた路網設計技術を整備・体系化していく。また、林業経営の技術や知識を持った専門家である「フォレスター」を育成するため、日本型フォレスター制度を創設する。同時に、森林施業プランナーや路網設計者など、森林・林業に携わる現場技術者を育成する。