第1回 20億ドルの望遠鏡、実は「ちょっとピンぼけ」だった?

スペースシャトル・ディスカバリーから放出されるハッブル宇宙望遠鏡。
(NASA/Smithsonian Institution/Lockheed Corporation)

 打ち上げは、うまくいきました。ディスカバリーの貨物室から慎重に取り出されたハッブル宇宙望遠鏡は、地上約600キロメートル、100分あまりで地球を周回する軌道にうまくのりました。

地上約600キロメートルの地球周回軌道をめぐるハッブル宇宙望遠鏡。
(STScI and NASA)

 宇宙空間に展開されたハッブル宇宙望遠鏡からデータが送られてくるのを、天文学者は皆、首を長くして待っていました。ところが、待てど暮らせど、なかなかデータが公開されません。

 どうしたんだろう、何かあったのだろうか、と噂をする天文学者たちを落胆させるニュースが流れました。なんと、望遠鏡の設計ミスで、ピントが合わなかったというのです。
 これには私も呆れてしまいました。たとえ小さな望遠鏡でも、ピントの合わない製品が売られることはありません。天体望遠鏡としては、実にお粗末な致命的ミスが、20億ドルを超す予算を投じたハッブル宇宙望遠鏡で起きてしまったというのですから、批判もすさまじいものがありました。

 しかし、このままにするわけにはいきません。
 幸い、ハッブル宇宙望遠鏡の軌道は、スペースシャトルが飛んで行って、さまざまな修理ができる場所です。急遽、ピンぼけを直すための補正光学系が設計されました。これを組み込むことで、なんとかピントが合うはずだと、1993年12月、今度はスペースシャトル・エンデバーがハッブルのもとへ赴き、宇宙飛行士たちによって、修理が行われました。