研究室に配属される前から「留学」ってどういうこと? とかなり混乱しつつも、短絡気味のボクは、もう既にあこがれの金髪美人女子学生と英語で愛を語らう近未来の留学中の自分を想像して「えーなあー」と思い始めていた。

「よっしゃ、じゃあ留学先を決めなあかんから、まずは研究テーマ決めよう。研究テーマが決まったら、それに合わせて留学先決めて、来年か再来年行ってこい。わかったな。じゃあキャンプインまでに自主トレで体作っとけよ」

そして研究テーマを決めるために当時研究室の助手だった左子芳彦先生(現京都大学農学研究科海洋分子微生物講座教授)に会いに行った。

ボクが事の経緯を話すと、水産微生物学研究室のエースと呼ばれていた左子先生は開口一番「キミ、研究ナメとるんか?」と若干怒気を含んだ冗談を言った。でも左子先生は、「チョー生意気な3回生」で顔を売っていたボクを結構気に入ってくれていたようで、親身に相談に乗ってくれたのだ。

「研究テーマとして、貝毒(フグ毒と似た牡蠣などの貝の毒)の生成細菌やウイルス、その原因遺伝子の研究というのと、ボクが個人的に興味を持っている超好熱菌の研究というのがあるけどどっちがいい?」

その話を聞いたとき、ボクは「おお、遺伝子! やりたかった分子生物学ではないか。しかもウイルスって、分子生物学の花形やん」と心が躍った。当時ボクが読んだ科学雑誌「ニュートン」の特集に、「レトロウイルス」というRNAを遺伝子に持つウイルスが肝炎やエイズの病原体とされ、「ノーベル賞級」の熱い研究トピックであると書いてあった。「ニュートン」、読んでてよかったー。

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