第2回 遊びたおそう!

 文化人類学者の亀井伸孝さんが、カメルーンのピグミー系狩猟採集民、バカの調査に「子どもの遊び」を選んだのは、実は「失敗からの出発」だったという。

 研究地とテーマを絞り込む際、当初、狩猟採集民バカの大人の本格的な狩猟採集活動の調査を考えた。そして、実際に日帰りの狩猟に同行もしてはみた。それで、「向いていない」と自覚したのだという。

「ついていきたいと言ったら、オーケイしてくれたんですが、朝早く出発してもう平気で何10キロも歩くんですね。私はものすごく足手まといになってしまったんです。私のためにわざわざゆっくり歩いてくれたり、時々、休ませてくれたり……結局、集落に帰るのが夜遅くになってしまって──」

 これではとても調査研究などできないと途方に暮れていたところ、亀井さんは子どもたちの不思議な行動を目にする。

精霊の姿を扮して踊る子どもたち(画像クリックで拡大)

「大きい子が、小さい子を誘って何かを始めたんです。手近なバナナの葉っぱを細かくちぎって、暖簾みたいなものを作って、それを頭に被り、腰にも巻いて、腰振って踊ったりしてですね。後になって、その地域で信じられている精霊の姿を扮したものだと知ったんですが、とにかく、手近にあるものを使ってチョコチョコっと遊具を作って遊ぶのが面白いなあと思って。普段何してるのかな、と知りたくなっていったんです」

 調べてみると、バカの大人の狩猟採集活動はこれまでに先行研究があるものの、子どもについてはほとんど先行研究がなかった。ならば、自分で研究するしかない!
 そこから、亀井さんの「子どもたちに弟子入り」する生活が始まったのだった。