第1回 めくるめく遊びの世界

 亀井さんが所属する愛知県立大学のキャンパスは、愛知万博の会場となった長久手にある。広々とした真新しいキャンパスを横切って、研究室に足を踏み入れた瞬間、肩すかしをくらったような感覚を抱いた。ごく普通に書架があり、アフリカ関連の書籍が並んでいるのは予想の範囲内。現地で手に入れたというアフリカ地図の織物も掲げてある。

 でも、「それだけ」なのだ。子どもの遊びの研究をしてきたわけだから、伝統的な遊具や、狩猟の遊びで使う弓矢などが飾られているのではないか、と想像していた。

「そういうものがあれば、わたしも持って帰りたかったんですけどね」と亀井さんは言った。

「でも、遊びの道具も、即席で作って、飽きたら捨ててしまうものばかりなんです。たとえば、サッカーをするのだってバナナの葉っぱをグルグルッと蔓でゆわいて、それで蹴り合うわけですよ。ほどけてきたら、ちょっとまた巻き直して使って、というふうに。遊び終わったら、捨てておしまい」

 結局、モノではなく記録、そして、記憶。亀井さんの研究は、現地の子どもたちの遊びの中にあるきらきらした記憶に彩られているようだ。