馬をつないでいる厩舎は、トラックの横の方にあって、私は、そこで働く人たちに、「馬が好きなんです。どこか働ける馬牧場を知りませんか?」と、尋ね歩いた。

 突然のことで、すぐ良い返事などもらえるはずもないのに、彼らの反応の鈍さに肩を落としていると、
「馬が好きなら、私が、なんとかしてあげるわ!」と、言ってくれた女性がいた。
 それが、青い目をして、金髪をなびかせて、颯爽と馬の背から飛び降りたスージーだったというわけである。

 きっと、「馬イコール人生」「馬好きは、馬好きが好き」という方程式を持つ彼女だからこそ、単身当てもなく、馬と暮らしに来た私のことを理解してくれたのだろう。
 夫のげじげじ髭に相談すると、「うちの牧場にくる?」と、言ってくれたのだった。

 というわけで、この二人に拾われた私は、無事に仕事が見つかり、住み込み宿も見つかり、ほっとして、ワクワクして、やる気満々で荷物を持って、この牧場にやって来た。

 けれど、なんだか、スージーの様子がオカシイのだ。妙な笑み浮かべている。そして……、
「ようこそ、アニマルファミリーへ」と、言うのである……。
「なっ、なにゆえ、そのようなことを?」

 と身構えていると、どこからか、子供たちがドタドタと床を鳴らして、まるで珍しい生き物でも見るかのように、私のまわりに集まってきた。

「ジャパニーズだ~」

 子供たちの目がキラキラと輝いている。私はまるで動物園の猿になった気分だった。

 この子たちは、ジャパニーズを見たことがないのか? なめんなよ~。
などと思っていると、スージーは、その子供たちを横目で見つつ、「アニマルは、こっちよ」と指差しながら紹介してくれた

 ……が、それは、それは、耳を疑うばかりだった。

つづく
※次ページは「主な登場動(人)物」です。

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