第8話 ようこそアニマルファミリーへ?
「馬は、私の人生。馬のいない人生など考えられない」
そう言い切るスージーは、幼稚園から高校を中退するまで、毎日欠かさず、馬に乗って学校に通っていたという。
授業の間は、馬を校庭の隅につないで、休み時間になると、その馬の世話をした。
高校生になると、ニュージーランドでは、免許を取って、車で学校に通うことができる。
けれどスージーは、一切のよそ見をすることなく、愛馬にまたがり続けたのだ。
そんな彼女に、学校側は突然、馬での登校を禁止すると言った。理由は、「他の生徒たちと違うことをしてはならない」だったという。
まるで、日本で起こりうるような言い分で、豊かな時間が流れるニュージーランドの気風からは、信じられない事実だが、当然のごとく、馬と共に生きてきたスージーの心は、噴火した。
そしてその場で、「分かりました。では、学校を辞めます」と、高校を辞めてきたのである。
それからというもの、彼女は、競走馬の調教騎手をしている。