第1話 実録!有人潜水艇による深海熱水調査の真実

その4  その瞬間、全身に稲妻が走った

第1話「実録!有人潜水艇による深海熱水調査の真実」のあとがき

今回紹介した潜航調査の様子は2009年10月10日から10月30日までJAMSTECの「よこすか」と「しんかい6500」を用いた「インド洋熱水探査航海」(正式な航海番号はYK09-13 Leg 1)でのワンシーンから紹介しました。本航海は、東京大学大学院工学系研究科附属エネルギー・資源フロンティアセンター、センター長である玉木賢策教授を首席研究者とする国際研究チームによって行われました。

玉木賢策先生は、長年インド洋における新たな熱水活動調査研究に多大な貢献をされ、そのリーダーシップにより、ようやく見つけた熱水活動の兆候を基に、この航海で2つの熱水域を発見するという成功を導きました。

熱水を見つけた潜航研究者(ワタクシのことでもあります)が、興奮して船上に戻り、嬉しそうに話す報告に、玉木賢策先生がもっと嬉しそうな笑顔で頷いている姿が忘れられません。玉木賢策先生は、2011年4月6日、出張先のニューヨークにて、急病のため突然逝去されました。

本章で伝えたかった「研究の楽しさ、喜び、熱い思い、そして感動」は、玉木賢策先生が「その研究」を通じて伝えたかったことに他なりません。「科学の原動力は感動であることを再認識した」。この「インド洋熱水探査航海」で最も大きな成果は何か?と問われた時、玉木賢策先生はそう答えました。ワタクシの駄文を、天国から見て、「あいかわらず高井さん、無駄に愉快でエネルギッシュですね~。でもボクはそういうの好きですよ」とおっしゃっていると思ってます。本当に一緒に研究できて楽しかったです。ありがとうございました。そして安らかに。



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高井 研

高井 研(たかい けん)

1969年京都府生まれ。京都大学農学部の水産学科で微生物の研究を始め、1997年に海洋研究開発機構(JAMSTEC)の研究者に。現在は、同機構、深海・地殻内生物圏研究プログラムのディレクターおよび、プレカンブリアンエコシステムラボラトリーユニットリーダー。2012年9月よりJAXA宇宙科学研究所客員教授を兼任。著書に『生命はなぜ生まれたのか――地球生物の起源の謎に迫る』(幻冬舎新書)など。本誌2011年2月号「人物ファイル」にも登場した。