第1話 実録!有人潜水艇による深海熱水調査の真実

その4  その瞬間、全身に稲妻が走った

観察窓から見える生物で賑やかな海底の風景の遠くに、何か白くて茶色い生物の集団がいる・・・・・・。ちょっと肉眼では見えない。

もう一度、カメラモニターに目を移し、カメラをその生物集団の方に向けて、ズームアップ。「白い貝のようだな。うーんなんだろうな。あんまり見たことがないな。んっ?巻き貝?!なんかウロコみたいなものが見えるぞ?」と心のなかでつぶやく(0.001秒)。

こんな風景をライブで見たら卒倒しますよ~。白くて茶色いのが「白スケーリーフット」。
(提供:高井研)

その瞬間、全身に稲妻が走った。キタァァァァァァー!!!!
「スケーリーフットや!!!!!!白いスケーリーフットや!!!!!」

無意識に叫んでいた。興奮してイイジマさんに唾を飛ばしながら、コックピットの床をドンドン脚で蹴飛ばし、自分の太ももを手でバシバシならしながら、叫びまくった。かなり狂ったかのように、わめき続けた(その恥態の一部はこちらをご覧下さい↓)。


(動画:JAMSTEC)

勝った。勝利した。大勝利。ウィーウィン!

一体何に勝ったかって?
うん、それはいい質問だ。なぜかボクは、こういう発見をしたとき「勝った!!!!!」という気持ちが湧いてくる。おかしいかな。いやおかしくはない。

たぶん冒険や研究を進めるとき、いつもボクは、半分は「絶対ボクはまちがいない」という自信に溢れた自分と、もう半分は「もし何も見つからなかったらやばいよな、かっこわるいよな」という不安な自分が、絶対同居しているのだ。そして「自信に溢れた自分がちょっとだけ不安に怯える自分を抑えつけること」によって、なんとかかんとか研究を推進している毎日なんだ。

このえもいわれぬ「勝った!!!!」という感覚は、たぶん、「自分を信じる自分の信念や気持ちが、自分を疑う自分の不安や弱さに、勝ったんだ!」という感覚に根ざしているに違いない。「ざまーみろ、自分」「すげーよ、自分」「天才!!やはり天才」。そういう事だったんだな。