第4回 写真家ジム・ブランデンバーグ 後編

 しっかり封をして、近所の郵便局から発送すると、あとは、無事届きますようにと、祈るだけでした。

 返事は3カ月を過ぎても返って来ませんでした。
 大学の卒業が近づき、そのあとの予定はまったくの白紙でした。

 <やっぱり無理なのだろうか。いや、手紙が着いていないのかもしれない。それに、長期の取材に出てしまっていることだって考えられる……。>

 ただ手紙を書いて出したぐらいでは、努力をしたという実感もなく、あきらめるなどという気持ちには、到底なりえませんでした。

 とうとう4月になり、大学を卒業してしまいました。これ以上待っていても仕方がありません。

 結局ぼくがたどり着いた結論は……「まだ返事が来ていないということは、NOといわれたわけでもない」という、自分にとってずいぶん都合のいい解釈でした。

 そして、ぼくは心に決めたのです。
「こうなったら、彼の家のドアを直接ノックして、手紙の返事を聞いてみよう」、と。

つづく

大竹英洋

大竹英洋(おおたけ ひでひろ)

1975年生まれ。写真家。一橋大学社会学部卒業。1999年に米国のミネソタ州を訪れて以降、北アメリカ大陸北部に広がる湖水地方「ノースウッズ」の森に魅せられ、野生動物や人々の暮らしを撮り続けている。主な著書に『ノースウッズの森で』(「たくさんのふしぎ傑作集」)、『春をさがして カヌーの旅』(「たくさんのふしぎ」2006年4月号)、『もりのどうぶつ』(「こどものとも 0.1.2.」2009年12月号)(以上、すべて福音館書店)などがある。また、2011年3月NHK BSの自然ドキュメンタリー番組「ワイルドライフ カナダ ノースウッズ バイソン群れる原生林を行く」に案内人として出演。近著は「森のおく 湖のほとり ノースウッズを旅して」(月刊 たくさんのふしぎ 2012年 09月号)
本人によるブログは「hidehiro otake photography」