私は、カナダで牧場修行をしたことがあるが、その時は、馬が石を踏まないようにと、放牧地に転がる石を拾い集めるのが仕事の一つだった。

 石の多い土地だったために、馬が走れば走るほど、石が地面から出てきて、きりがないほどだった。

 馬の放牧地を整えるのに、石拾いならまだしも、ウサギ殺しだなんて……。私は気が重くなった。殺生など、蚊やハエぐらいしかできないのだから……。

 もともとウサギは、ニュージーランドには生息していなかった。
 イギリス人たちが入植した時に、鉄砲を持って狩りにいく楽しみを作るために、ウサギを野に放したのだ。

 その時に、豚も放していて、この牧場に来てそうそうに、野豚を撃ってきたという人から、足を一本いただいて食べたのだが、これがまた、スーパーで買う豚肉とは違って、歯ごたえがあって美味しかった。

 けれど、このニュージーランドで増えたウサギは、手乗りウサギのように小さくて、食料にならない。
 しかも、手乗りウサギのくせに、掘る穴は大きく、牧草地を穴だらけにしてしまうので、完全迷惑な、害獣となってしまったのだ。

 という訳で私は、穴だらけの牧草地にいる馬たちの命を救うために、ウサギ殺しに加担することになったのだった。

 スージーは、マシンガンのように、ガンガン、ガス玉を投げ入れている。
 私も真似して、
「えい! やー」
 ウサギの穴に数粒投げ入れると、瞬時に足で土を掘り、穴を塞ぐ。ドンドンと塞いだ土を踏み固めて、ナムアミダブツ……。アーメン……。
 これも、馬たちが足の骨を折らないためである。ナムナムナム。

 ……けれど、そう言えば、ウサギの巣穴って、出口がいくつもあるんじゃなかったっけ?

つづく
※次ページは「主な登場動(人)物」です。

この連載の前回の
記事を見る

この連載の次の
記事を見る