第2章 単独行 前編

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 単独行。パートナーや組織をつくらずに、たったひとりで行く。植村直己は単独行の冒険家だった。

 単独行ということは、植村直己を考えるさいに、はずすことのできない視点である。というより、それはほとんど植村を植村たらしめている核心であった。

植村直己は単独行の探検家だった。ひとりテントのなかですごす時間は、彼にとって「すごく楽しい」ものだった(写真提供:文藝春秋 © Bungeishunju)