第1話 実録!有人潜水艇による深海熱水調査の真実
その3 ぜったい変な未知の生物が見つかるに違いない
前回まで: JAMSTECの研究者・高井研は、生命の起源を追ってインド洋上にいた。調査最終日、海況は悪かったものの、なんとか潜航許可が下り、二人のパイロットと高井をのせた「しんかい6500」は、水深2600メートルの海底へ向けて潜航を始めた・・・・・・
とかなんとか言ってるうちに、深度計の数字は水深1500mぐらいを示している。思えば深くにきたもんだ。今、チタン殻にヒビが入れば、モノの一瞬でボクらはペシャンコになる。
最初のころは、やはりこの深さに対する恐怖心はすごくあった。とにかくコックピットの中に海水が浸水してくるんじゃないかとビクビクしていたなあ。最近は慣れてきて「新幹線のなかのおっさん」みたいに、あられもない格好で居眠りまでするぐらい慣れたけれど。
しんかい6500が潜水しながらずれた位置を補正するため、着底予定地点にむけて、潜水しながらゆっくり動き始める。そのころから、今日の潜航調査の作業を再確認する。
まず一番重要な事。今日は、最後のたった1回の潜航チャンスで、しかもその時間は極度に短いかもしれない。「インド洋第4の深海熱水活動の特徴」を最低限理解する試料を、優先順位を決めて、起こる事態に臨機応変に対処しながら、悔いを残さないように採取しなければならない。
まず、深海熱水が噴出しているチムニーを見つけたら、すぐさまその脇に着底する。熱水噴出孔にしんかい6500をベタ付けするこの作業は、冬山遭難者救助のヘリコプターの操作と同じように、じつはかなり難しい。
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