日本人がつくった自然の森――明治神宮「鎮守の杜に響く永遠の祈り」

 本多博士らは大いに困惑した。そもそも明治神宮の地は関東ローム層の洪積台地にあり、保水力に乏しく、潤沢な水を必要とする杉は十分に育たない可能性があった。

 そこで本多博士は、東京の杉と日光の杉について樹幹解析を行い、日光に比べていかに東京の杉の生育が悪いかを科学的に説明することで、ようやく大隈首相を納得させたという。樹幹解析とは、木の根元から先端までの幹を一定の間隔ごとに輪切りにして、その断面の年輪を調べることにより成長過程を推定する方法である。

創建時のアカマツが主木の林から、カシなどの常緑広葉樹が主木となり、人手を介さずに自ら世代交代を繰り返す「天然林相」になるまでの変化を4段階の林相予想図として描いた

 「もしこのとき説得できなかったら、今頃明治神宮の森は、やせ細った杉が茂るみすぼらしい森になっていたことでしょう」と沖沢さん。どのような森を後世に残すのか、森づくりの主導者たちがいかに強い信念と使命感を持って取り組んでいたかが分かる。

つづく