バイオロギングの研究は、未踏の大地を行く博物学者の仕事に似ていると書いた。

 詳しく調べたい動物を外から観察するのではなく、観測機器をくっつけて、それそこ対象動物と一体化してデータを取るわけだから、ぼくたちの目や耳やその他の感覚が拡大したようなものだ。新しい観測手段を得、新しい感覚器官を得たぼくたちは、やはり、最初は博物学的な記述から、ことを始めることになる。

 とはいえ、デジタル式のデータロガーが開発されてから、かれこれ20年。渡辺さんは、当時の一線の研究者から考えるとそろそろ孫弟子の世代だ。データや研究の蓄積は相当なものになっていて、渡辺さんは、今後、その蓄積を活かした横断的な研究に興味があるという。

 2011年に出たばかりの論文では、海鳥、海洋哺乳類、は虫類(ウミガメ)の3つのグループから39種の遊泳速度のデータを準備し、比較した。

 その結果、同じ分類群なら、体が大きいほどわずかながら遊泳速度が速くなることが分かった。

 また、分類群ごとの比較では、海鳥、海洋哺乳類、そして、は虫類(ウミガメ)の順となった。これは、それぞれの分類群の基礎代謝量と相関した。

 蓄積された研究論文を精査して得たデータから、非常にきれいな結果を出しており、権威ある科学雑誌『ネイチャー』でも紹介されたほどだ。

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