大槌時代は地の利を活かしてマンボウを研究。のんびり屋のイメージだったが、外洋を泳ぐサケとほぼ同じスピードが出せることを明らかにした

マンボウは実は飛んでいた

 渡辺さんがかつて在籍していた東大大気海洋研・国際沿岸大気海洋研究センター(※)は、岩手県大槌にあり、地元の漁船は毎日のようにマンボウを漁獲していた。

 ちなみに、ぼくはかつてイルカにまつわる取材で大槌を訪ねたことがあり、マンボウの刺身を食べた。イカとゼラチンの中間のような独特の食感で、たいそうな珍味だった。しかし、市場価値は低い。極端に「足が速く」て、近場の盛岡に出荷してもすぐに水分が滲みだしぐしゅぐしゅになってしまうのだそうだ。だから、地元消費が中心になるし、珍味の類だから大量消費というわけにもいかず……自然と市場価値は低くなる。

 渡辺さんは、そのマンボウに目を付けた。

「漁船が出ると毎日のようにかかってくるから調べたい放題で、しかも、論文検索をしても何も出てこないくらいに調べられていない。だいたい50頭か60頭は解剖しましたね。それと、漁船に乗って、2年間で5個体にロガーを付けました」

※岩手県大槌にある東大大気海洋研・国際沿岸大気海洋研究センターは東日本大震災で被災し、現在は復旧の途上にあります。詳しくはこちらをご覧ください。

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