第1回 ペンギンカメラの衝撃

 ペンギンに「くっついて」撮影した動画は、それ自体、非常に楽しく、わくわくさせられる。ペンギン好きを自認しているぼくは、ニュージーランドやフォークランド諸島や南米や南アフリカや亜南極でもペンギンを見てきたけれど、当たり前だがすべて陸上かボートからだ。ペンギンがいきいきと活動している知られざる海中の世界を垣間見させてくれるだけでも単純に嬉しいし感動する。

 ただ、実際のところ、動画撮影のデータロガーが単独で使われることは滅多にない。遊泳速度、深さなどの基本データを収集するロガーも束ねて同時に装着されていて、のちに動画と照合され行動の分析に使われる。

 よく使うデータロガーは? と聞くと、渡辺さんは黒く細長い筒を差し出した。「小型」というのはとても大切なポイントで、直径2センチ程度、長さ11センチほど、重量60グラム強、だという。水中だと浮力が生じ、20グラムそこそこになる。

ペンギンに装着した高性能のデータロガー。小型化がいちばんのポイントだ

 PD2GTと暗号めいた文字がプリントされていた。製品名であると同時に、記録できるデータをそのまま示しているそうだ。

 Pはプロペラ(遊泳速度が分かる)、Dは深さ、2Gは2方向の加速度、そしてTは温度。たったひとつの小さな筒を装着するだけで、これだけの種類のデータを時系列に取得することができる。

 遊泳速度や深さ、温度については、直観的に分かりやすい。たとえばペンギンがどんな環境(海水温度や深さ)で、どんなスピードで泳いでいるのか、というのはすごく興味がそそられる。加速度については、ペンギンの姿勢や羽ばたきといった動作を検知できるので、さらに理解が深くなる。