第1回 ペンギンカメラの衝撃

 小さなセンサーとデータ記録装置を組み合わせたもの(データロガー)を、動物に装着し(つまり、くっつけて)データを取り、行動を分析する「バイオロギング」の最新の成果のひとつだ。人間には追いにくい水の中の生き物の行動を理解するために、バイオロギングはこの20年ほどで飛躍的な進歩を遂げている。

「ロガーをつけられるなら、どんな生き物にだってつけてやれ、って思ってやってます。バイオロギングでは、取れてきたデータから何が分かるか、とにかくやってみないと分からないんです」

 そう述べるのは、国立極地研究所の助教、渡辺佑基さん。

 東京都立川市にある研究室は、「生物学」でイメージしがちな「白衣で顕微鏡を覗いている」といったものと対極にあるものだった。白衣どころか、カジュアルなジーンズ姿であり、棚にはヘルメットが並べてある。顕微鏡はないが、小さなマグライトを思わせる形状の「データロガー」や、それを海上などで回収する時に使う「浮力体」などが無造作に置いてある。まさにフィールドで仕事する研究者の拠点というのがふさわしい。

 先に描写したペンギンの動画は、渡辺さん自身が、2010年11月から2011年3月にかけて、4ヵ月間にわたり南極観測隊に参加し(南極大陸の実質滞在は2ヵ月)、昭和基地近くの袋浦と呼ばれる海岸で、アデリーペンギンにビデオロガーを取り付けて得た成果なのである。

立川の国立極地研究所にある渡辺佑基さんの研究室。ヘルメットやさまざまな測定機器が極地での活躍ぶりを物語っていた