今日は何匹釣れたかな?
2011.05.27
- JUNE 2011 -
ナショナル ジオグラフィック協会 写真資料室から
今日は何匹釣れたかな?
急流の傍らの岩に腰かけて、竹製の魚籠(びく)をのぞき込む。1910年代半ばに撮影されたこの写真の説明には、「日本の漁師がアユを釣っている」とある。笠に手っ甲、わらじ、それに大きな魚籠から推察するに、相当の腕前のようだ。今日の釣果はいかばかりなのだろうか。
東アジア原産のアユを欧米に初めて紹介したのは、長崎出島のオランダ商館医だったシーボルト。6年余りの日本滞在中に集めた標本などを基に発表した『日本動物誌』の中で、サケ科に属する魚として登場させている。その後、時代とともに、キュウリウオ科に分類されたり、一種のみでアユ科・アユ属に分類されたりしてきた。
もちろん、分類が変わってもアユが変わるわけではない。今夏も全国の川には、アユを求めて多くの釣り師が押し寄せることだろう。
写真: KIYOSHI SAKAMOTO