本誌2011年5月号の「日本うるわし列島」に掲載された吉野川源流域のほか、四国の森を20年にわたって撮影してきた。山深くにある、人の手が入っていない原生の森々だ。「東日本の森に比べてワイルド。木々が切磋琢磨し、生き抜こうとするエネルギーを感じる」と語る。今回のフォトギャラリーでは、そんな四国の森の季節感あふれる作品を掲載した。

 1961年、高知県生まれ。小さいころから自然は好きだったが、写真はやらなかった。だが31歳でそれまでの仕事を辞め、フリーの写真家になる。「28歳のときに突然母親を亡くして、人生を考えた。人はいつ死ぬかわからない。やりたいことをやらなければと思った」。そんな折に、写真雑誌で前田真三氏の写真を見つけた。身近な自然を切り取る美しい写真に、自分がやりたいと思っていたことが重なった。

 多いときは1年に200日ほどフィールドへ出かけ、森と向き合う。たとえば霧氷の時期には、朝3時に家を出て夜明けを待つ。霧に覆われて5メートル先も見えないほどなのに、ある瞬間、風が吹いてぱっと霧が晴れ、朝焼けであたり一面真っ赤に染まったりする。「写真家をやめられないと感じる瞬間。そんな風景を写真で伝えることで、自然のことを感じてもらえるといいなと思う」

 5年ほど前から、四国以外にも白神山地や大山、屋久島を定期的に撮影するようになった。最近では、高知・室戸の海岸に沿った岩のある風景など、森以外のテーマにも取り組んでいる。

『ナショナル ジオグラフィック日本版』2011年5月号「日本うるわし列島」に、写真を追加して掲載した。