写真家フランス・ランティングがこの絵画のような光景をカメラに収めたのは、ナミビアにあるナミブ・ナウクルフト公園のデッドフレイと呼ばれる場所。いったいどのようにしてこれを撮影したのか。アフリカで仕事中のランティングが読者からの質問に答えた。現地ではインターネットへの接続が難しいため、ランティングの答えは簡単なものにならざるを得なかったので、今回の記事で彼の写真を編集したエリザベス・クリストに適宜補足してもらった。

――構図が本当に素晴らしいですね! この写真の撮影のために事前の準備は必要でしたか? それとも、たまたまちょうどいい時間と場所で撮っただけなのでしょうか?

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ランティング:どうやって撮影したのかを簡単に説明しましょう。この写真を撮ったのは明け方でした。朝日の暖かな光が巨大な赤い砂丘を照らしている一方で、白い地面はまだ影の中にあり、空の色を青く映していました。影に覆われた前景と朝日に照らされた後景とのコントラストが強すぎるので、2ストップのグラデュエーテッドフィルターを使ってコントラストを抑えました。完璧な瞬間が訪れたのは、太陽の光が砂丘のふもとと白い地面のちょうど境まで当たったときです。長い望遠レンズを使い、遠近感を抑えるようにして撮影しました。

クリスト:『ナショナル ジオグラフィック』誌の写真家は、綿密に計画を練ります。現地に足を踏み入れる前に、特定の場所を選んでおくことも多いんですよ。今回、ランティングには幸運にも妻のクリスティン・エクストロムがついていて、調査や必要な物の準備を手伝ってくれました。私たちが記事を作るときにいつも重要となるのは、写真家に現地の状況を調査するための十分な時間をとってもらうこと。光が当たるのはどの場所か、一般の人たちはどの時間帯にそこを訪れるのか、起こりうる問題は何かなどといった点を事前に把握してもらうのです。そうすることで、もっとも理想的な時間にその場所を訪れることができるのです。

――オレンジ色の背景の中で白く見えているものは何ですか?

ランティング:砂丘に白い植物が点々と生えているんです。

――この写真にはどのような編集をしましたか? また、どのようなソフトウェアを使いましたか? 私は大学で美術を学んでいます。この写真はかなり手を加えられているように見えるのですが、ご説明いただければ幸いです。

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ランティング:最終的に印刷されて出てきた色は、私が見た景色の通りです。技術的な調整は1つしかしていません。グラデュエーテッドフィルターを使ったことです。これはコントラストを弱めるだけで、色には影響しません。

クリスト:『ナショナル ジオグラフィック』誌では、写真の構図や動きに影響するような修正はしません。ただ、レイアウトに合わせるために画像の縁を切り取ることはあります。印刷スタッフは、写真を忠実に仕上げるために色や明るさをうまく調整してくれます。

――多くの人にとってこの写真が絵のように見える理由は何でしょうか?

クリスト:遠景の砂丘が太陽の強烈な光に照らされている一方で、前景はまだ早朝の影の中にあるためだと思います。木々がほぼシルエットになっていますよね。この砂丘はビッグダディと呼ばれていますが、高さが約366メートルあり、赤味がかった強烈なオレンジ色をしています。これが神秘的な背景を生みだしているのです。

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――同じような写真を撮るためのテクニックはありますか?

クリスト:大勢の人がこの写真にこんなにも強い反応を示す理由の1つは、ひとえにこれが非現実的で幻想的に見えるからです。アドバイスがあるとすれば、とにかくいついかなるときも、単に記録するだけでなく光の(そしてもちろん構図の)劇的な効果を使って撮りなさいということです。写真家が集まっている場所に自分がいたとして、他のみんなと同じ写真を撮りたくはないですよね? 撮影機器の使い方をマスターする必要はありますが、きっと自分ならではの取り組み方が必要でしょう。そのためには、ただ努力あるのみです。様々なアングルや距離を試してみたり(地面に横になったり、丘に登ったり)、時間をかけて理想的な瞬間や天気を待ち、翌日また戻ってきて次のチャンスに備えたりしてみることです。ただ、説明は難しいのですが、常に想像力が必要です。

――この写真がこんなにも人気を集めることを予想していましたか?

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クリスト:ランティングがこの写真を撮ったときにどう思ったかは分かりませんが、編集部での反応を見るのはとても面白かったです。反応は大きく2つに分かれました。大半の編集者はこの写真をとても気に入りましたが、冷淡な反応をする人も何人かいました。枯れ木がたたずむこの光景は、編集の際にすぐに目を引きました。ランティングは同じ場面を何枚も撮影していたので、最終的にこの1枚に決めるまでに何枚も同じような写真を見比べなければなりませんでした。

――このページに掲載されている5枚の異なる写真を撮ったのはなぜですか? また、それぞれの風景から引き出そうとしたものは何ですか?

クリスト:ランティングはこの記事のために1万6000枚近くの写真を撮りました。そのうちソススフレイとデッドフレイで撮影された枯れ木の写真は321枚ありました(これは、このように印象的な風景を撮ったにしては比較的少ない数です。ランティングは今回の仕事ではいつもより短い時間しかかけられませんでしたが、多くの場所を撮影しようとしていました)。彼は、現地での短い滞在時間のあいだに、この特別な場所からすばらしく多様なイメージを引き出して、私たちに見せてくれようとしたのです。

――現地では時間ごとに光がどのような性質を持つのか、また、完璧な写真を撮るにはどうすればよいのか、教えてください。

クリスト:大体どのような場所でも、早朝の光と夕暮れ時の光は最もロマンチックで美しい印象を生みだしてくれます。しかしそれはすべて、自分がどのような効果を求めているのかによります。もし真昼のどぎつい光がよいと思えば、それもまたある種の劇的な効果をもたらすでしょう。そして、完璧な写真などというものはありません!

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