01：火星への旅

火星への到達は人類初の挑戦だ。それは容易なことではない。数カ月間の旅に人間を送り出すには、必要なものがたくさんある。食料に水、放射線防護機材をはじめ、生きていくために必要な設備はさまざま。適切な着陸地点を目標に定め、必要に応じて現地資源も有効に活用しなければならない。想定される問題、その解決策はあるのか？

02：人体の異変

火星へ旅し、そこで暮らすことになる人は、精神的ストレスを感じたり、心の問題を抱えたりすることもあるだろう。長期にわたる宇宙滞在がどのような心理的・社会的影響を与えるかを評価する実験は、国際宇宙ステーションをはじめ、極地や砂漠に設置された「模擬火星」施設でも実施されている。火星に行くべき人間はどんな人だろうか？

03：火星で生きる

火星の住まいに求められる条件は多い。温度差が非常に激しく、水はほとんどなく、浴びれば死につながりかねない放射線が常に降り注ぐ。宇宙建築家や宇宙技術者は、これらすべての要素を考慮したうえで、火星での「わが家」を設計しなければならない。酸素や燃料の生成、植物の栽培、部品の製造などを行いながら住み続けられる住居とは？

04：火星の生物

火星に生命が存在するのか、あるいは存在したのかを確かめることは、火星探査の最大の目的の一つだ。一方で、火星で生物が見つかった場合にそれが人類に及ぼす影響や、逆に人類が持ち込んだ微生物が火星を汚染する危険性も考慮する必要がある。人間が生活できるように惑星を変える「テラフォーミング」は可能なのだろうか？

05：火星の国境

1960年代に米国と旧ソ連が繰り広げた宇宙開発競争は、もはや過去の話。国の威信をかけて争った20世紀とは違い、現在は各国が連携して火星を目指す動きがある。米スペースX社をはじめとする民間企業の取り組みも盛んだ。世界が手を携えて火星を目指し、その地でも国境の垣根を超えて迫り来る難題を乗り越えて行けるだろうか？

06：火星の”地球人”

人類が移住してから何百年もたった火星を想像してみよう。地球よりも重力の低い火星で生まれた子どもたちは、地球の子どもよりも体が弱く、地球での生活には向かないかもしれない。彼らにとっては火星こそが“ふるさと”であり、独自の文化を築き上げることになる。地球からの「独立宣言」が出される日は来るのだろうか？