第4回 遺伝子検査で医療はどこまで進歩するのか

「我々がかかわったものとしては、てんかんや三叉神経痛に使われるカルバマゼピンという薬がよい事例だと思います。この薬を飲むと薬疹のような皮膚への副作用が出る人がいて、重症化する場合もあります。そこで、薬疹が出た人と出なかった人を調べたところ、違いをもたらしている遺伝子が特定できました。それによって10倍くらい薬疹などの副作用のリスクが違ってくるようだったので、理化学研究所のグループを中心とした研究グループで、投薬する前に遺伝子検査をして薬を使い分けるようにしたところ、副作用のリスクを大きく下げられると確認できました」

 薬疹というと、一般には、皮膚にポツポツしたものが出るというふうなイメージかもしれないが、実は重症化すると命にかかわることもあるという。決して軽視できない問題だ。こういった副作用を回避するための知見は今、積み重なっており、他にも、DNAの複製を抑えてがん細胞の増殖を抑えるタイプの抗がん剤、イリノテカンでも副作用に関係する遺伝子が見つかっている。

 こういったことを踏まえた上で──

 やはり、がん細胞そのもののゲノム(がんゲノム)を調べて、特定のタイプのがん細胞を標的にできる薬剤は、大いに期待されている。

「バイオバンク・ジャパンが対象としてきたのは、血液由来のDNA、いわゆるパーソナルゲノムだけなんですが、最近はいろいろな研究グループと連携する中で、がんゲノム、がん組織の収集も行っています。それらは臨床研究に参加した患者さんたちから採取されたものです。臨床研究って、治療法のAとBのどっちが優れているかを知るために、患者さんをランダムに割り付けして比較するタイプの研究です。そういう研究由来のサンプルを持っておいて、5年10年たつともっと別の切り口の解析の方法も見えてくると思うので、その時点で最新の解析を行って、治療法のマーカーを見つけていくことになります」