クマなどの野生動物は橋ができたことでハイウェイをまたいで移動できるようになった ©Travel Alberta
クマなどの野生動物は橋ができたことでハイウェイをまたいで移動できるようになった ©Travel Alberta
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北米大陸に広がる

 カナダ最初の国立公園として生まれたバンフ。国立公園には、ここからここまでという境界線がある。しかしその「線」は、当然ながら、カナディアン・ロッキーの自然にとっても、ここで生きる野生動物にとっても意味がない。さらに生態系を守るべき国立公園のど真ん中にハイウェイを通しフェンスで線を引いてしまったが、野生動物が減少して自然が損なわれることは、観光地としての価値を損なうことにもつながる。バンフの人たちはその間違いを正すために地下道や橋を建設し、クマが橋を渡った時には新聞が一面で扱うほど人々は喜んだ。人間が自然の中に引いた線を残しつつも、共生のために編み出した方法がうまくいったのだ。

 国立公園の境界という線が動物にとって意味のないものであるのと同様に、カナダの州と州の境も、カナダと米国との国境も動物にとってはやはり無意味な存在だ。そこで今、カナダ北部のユーコン準州からカナディアン・ロッキーを通って米国のイエローストーン国立公園までつながる野生動物の移動ルート「ワイルドライフ・コリドー(緑の回廊)」を守ろうという取り組みが始まっている。人間の生活圏によって動物たちの移動ルートが分断されたとしても、野生動物の生息地の間をつなぎながら移動できる道を確保しようという試みだ。

 バンフの人々は、野生動物との共存の道を開いたことで動物たちの生息域を守った。その結果、観光地としての価値を高めることにも成功した。そのノウハウが国をまたいで、今、大陸レベルで広がりつつある。

この連載はカナダ観光局の提供で掲載しています。

著者 半藤将代(はんどうまさよ)

早稲田大学第一文学部卒業後、トラベルライターやイベント・コーディネーターとして十数カ国を訪問。その後、アメリカに本社を置くグローバル企業で日本におけるマーケティング・コミュニケーションの責任者を務める。 1999年、カナダ観光局に入局。日本メディアによるカナダ取材の企画やコーディネートに取り組む。2014年には、単なる観光素材の紹介にとどまらない新たなコンテンツ・マーケティングの可能性を開くため、オリジナルコンテンツを満載したウエブサイト「カナダシアター」を開設。カナダの文化や歴史、アートなど、あらゆる分野の読み物や動画を活用して多彩なストーリーを展開した。2015年、カナダ観光局日本地区代表に就任。通年でのカナダ観光の促進や新しいデスティネーションの商品開発を推進。現在は、ニューノーマルにおける新しい観光のあり方を模索している。

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