アニマル・オーバー・パスは、バンフ国立公園内に6カ所設置されている ©Paul Zizka
アニマル・オーバー・パスは、バンフ国立公園内に6カ所設置されている ©Paul Zizka
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橋とトンネル

 この問題の解決のため導入されたのが、ハイウェイの下を通る動物専用の地下道「アニマル・アンダー・パス」だった。パークス・カナダはこの地下道に砂をまき、着けられた足跡でどんな動物が通っているかを確認した。だが、わかったのは警戒心の強いクマやオオカミはあまりこの地下道を利用していないという残念な事実だった。このため1996年、今度はハイウェイの上に架かる「アニマル・オーバー・パス」を建設した。

 最初の夏、クマは1頭もこの橋を通らなかった。クマが橋を見つけなかったのか、あるいは橋を警戒していたのか。2シーズン目もクマが橋を渡ることはなかった。市民からは国立公園に対し、計画時のアセスメントが足りなかったのではないかという批判の声が上がり始めた。そして迎えた3シーズン目。ようやくクマが橋を渡ったことが確認され、バンフの新聞はこの出来事を一面トップの記事として紹介した。その後、オーバー・パスとアンダー・パスは動物たちの通路として定着し、野生動物と車の衝突事故は80パーセント以上も減少した。

 このバンフ国立公園での成果を見て、野生動物の移動を妨げてはならないという考え方を周囲の町も取り入れ始めている。バンフ観光の恩恵を受けて急成長を遂げつつあるのが、バンフに隣接するキャンモアだ。この町でも、バンフでの生態系保全のノウハウに基づきアニマル・アンダー・パスを建設した。さらにアニマル・オーバー・パスの建設も予定されている。

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