プリンス・エドワード島の海岸線には70もの灯台がたたずむ。©Tourism PEI / Paul Baglole
プリンス・エドワード島の海岸線には70もの灯台がたたずむ。©Tourism PEI / Paul Baglole
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『赤毛のアン』の舞台として知られるプリンス・エドワード島。Prince Edward Islandの頭文字からPEI(ピー・イー・アイ)と呼ばれている。この島ならではの赤土の大地には草木の緑が映え、青い海を前にした海岸線にはかわいらしい灯台がぽつんぽつんとたたずんでいる。目に見えるすべての景色が素顔のままのような優しさだ。

 100年以上前に物語に描かれたのとほとんど変わらない牧歌的な風景を今も目にすることができる。美しいビーチを散策し、ロブスターやムール貝などのシーフードを味わい、ブルーベリーの収穫を体験するなど、島の楽しみ方は実に多彩だ。

 日本人観光客がPEIを訪れるようになったのは1980年代半ばのこと。1990年代にかけて年間2万人ほど訪れていた日本人観光客の多くは、小説『赤毛のアン』のファンである若い女性だった。1992年に海外旅行専門雑誌「ABRoad」が一番行きたい旅行先を読者に尋ねると、ニューヨーク、パリ、ロンドンといった名だたる大都市に続き、カナダ東端の小さな島であるPEIが4位に選ばれた。そしてこの頃から、「アイランダー」と呼ばれるPEI住民の困惑が始まった。カナダで『赤毛のアン』は日本ほど人気のある本ではないし、読んだことのない人も多い。どうして日本人が続々とやって来るのか。彼らにとっては大いなる疑問だった。

 とまどうアイランダーをよそに、『赤毛のアン』の世界をひと目見たいとやって来た日本人観光客は、感動に包まれながら島での時間を過ごした。

「PEIはなんて美しいんだろうと、日本人観光客が私に言うのです。子供の頃から毎日この風景を見て育ったから、そんなふうに考えたことなんてありませんでした。でも、おかげで初めてこの島の美しさに気づきました」。グリーンゲイブルズ博物館を運営するジョージ・キャンベルは言う。

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