大都市らしからぬ大都市:バンクーバー

自然との調和

港では水上飛行機が頻繁に行き交う。ビクトリアや近隣の島々に短時間で移動できるので、ビジネスや観光客などに利用されている。©Harbour Air Seaplanes
港では水上飛行機が頻繁に行き交う。ビクトリアや近隣の島々に短時間で移動できるので、ビジネスや観光客などに利用されている。©Harbour Air Seaplanes
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 観光や通勤にも使われる水上飛行機を運航するハーバー・エアは、世界初のオール電化の航空機でのフライトに成功し、実用化を進めている。創業者でもあるグレッグ・マクドゥーガルCEOは言う。「自然と共に生きるバンクーバーの街で飛行機を飛ばすからには、サステナビリティーの理念だけではなく、安全で快適な暮らしが続くよう責任をもったオペレーションを実践しなければなりません」

 ダウンタウンの高層ビルはガラスを多用することで、周囲の海や山、空を映し出し、自然を景観に取り込む効果を発揮する。その多くは、建築などの環境対策を評価するLEED認証で最高レベルのプラチナを取得している。ビルの間には公共スペースや緑地が配され、歩道も充実している。人口密度が高い割に開放感を感じられる街づくりは、「バンクーバーイズム」と呼ばれる。コンベンション・センターやフェアモント・ウォーターフロントホテルでは緑化された屋上で養蜂が行われるほか、街のあちこちにある小さな遊休地でも都市農業が行われ、ホームレスや支援を必要とする人々の職業訓練と社会復帰の場にもなっている。

 市民の憩いの場であり、バンクーバーを代表する観光スポットのスタンレーパークは、都心にありながら太古の巨木を残す広大な森だ。昔から先住民が精神の拠り所としてきた土地でもあり、大地や海とのつながりを感じることができる。公園内にはトーテムポールが立ち、先住民ガイドによるツアーもある。公園の入口付近で気軽に自転車を借りられるので、サイクリングを楽しむ人も多い。

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