第4回 セクハラ、医療、介護…「移民」も直面する日本の諸問題

 家族を伴わない単身渡航でやってくる若者だから、恋愛もするだろうし、妊娠することもあるだろう(またひどい話だが、セクハラの結果として、妊娠に至ることもあるかもしれない)。それでも、あくまで単身での渡航で就労することが条件なので、出産することが制度として想定されていない。

 入管法対策というのもとても大きなテーマだ。

「法律が変わるたびに、外国人管理や排除が強化されていくので、私たちは『管理・排除ではなく共生のための制度を!』と言い続けています。例えば、1980年代から90年代にかけて、労働力不足を満たしていたのは、オーバーステイの非正規滞在者が多かったんです。まだ緩やかな排除の時代で、おまわりさんも『あの人はオーバーステイ』と知っていても普通に挨拶して見逃しているような時代でした。でも、21世紀になって、技能実習制度などサイドドアからの労働力供給が十分に機能するようになって、さらにフロントドアからの受け入れも検討され始めたので、じゃあバックドアは閉じましょうと、一斉に摘発を始めました。2003年12月に、半減計画(今後5年間で非正規滞在者を半減する計画)が出された時、本当にできるのかと思っていたら、実際に目標を達成してしまいましたから」

「不法滞在者」と表現すると、「不法」つまり法をおかした人であり、とてつもなく悪い人のような印象を受けるが、実際には、そうならざるを得ない様々な原因がある。例えば、今なら、過酷な職場で、監理団体も味方になってくれないような場合、技能実習生が脱出(失踪)することがある。このストーリーの中で技能実習生は、搾取された被害者だが、しかし、入管法的には、決められた就労を放棄したのだから、不法滞在者ということになる。日本の制度では、自分ではなく受け入れ側に問題があっても、簡単に本人が「不法」になってしまう。

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 更に最近、当局が問題にしているのは「偽装滞在者」だ。偽造した卒業証明書や虚偽の雇用証明書などを使って不正に在留資格を得た人や、在留資格に定める活動をしていない人のことで、入管は取り締まりを強化する方針だそうだ。

「本来、研修・技能実習制度って『前職規定』っていうのがあって、母国において同じ仕事をしていて、その仕事を日本でより高めていくという建前です。だから、前職についての証明書が必要なんです。でも、例えば、私が聞き取ったある建設会社の現場では、みんな母国では別のことをやっていて、本人たちが知らないまま勝手に履歴が書き換えられてるんですよ。それって本人の責任ではないですよねって法務省担当者に尋ねたんですが、『本人が知らなくても、偽って入ったのだから、発覚すれば退去になります』って答えなんです」