第4回 セクハラ、医療、介護…「移民」も直面する日本の諸問題

 日本人がその労働条件では働けない職場に、かつてはバックドアから、昭和から平成への元号の変わり目からはサイドドアから、そして、令和の今はフロントドアからも人を受け入れつつ、そうこうするうちに、ずいぶん「外国人」はぼくたちの社会に増え、様々なサービスを支えてくれるようになった。

「今回、法律が変わって、今後、5年間で約35万人、つまり、毎年平均7万人受け入れるっていうことで、みんな大騒ぎしています。でも、私たちからしてみると、ここ数年、毎年、10万人、20万人と増えてきたじゃないかと思います。技能実習生だったり、留学生だったり、あとは国際結婚とか、いろんな形で増えていますから。さらに、第2世代、第3世代の子どもも生まれているわけですから、外国人や外国ルーツの人、が増えていくのはもうとっくに始まっているんです」

 鈴木さんに言わせれば(いや、この問題に関心を持ってきた人に言わせれば)、「外国人」はとっくに増えているし、すでにぼくたちの社会は彼ら彼女らに支えられている。その中には、「移民」と呼んで差し支えない「定住型」の人たち、移民ルーツの人たちが、もう数百万人もいる。彼ら彼女らはいずれ帰っていくのではなく、ともに生きていく人たちだ。

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 以上、鈴木さんが大学の講義で語るような内容をかなり単純化してたどった感があるが、大雑把な見取り図は描けたかもしれない。

 では、鈴木さんが大学の教室を離れて活動している移住者支援はどんなふうだろう。前述の通り、鈴木さんは「特定非営利活動法人 移住者と連帯するネットワーク(以後、移住連)」の副代表理事だ。

 まずは「移住連」について教えてもらおう。

「1996年に前身ができた時には、移住労働者と連帯する全国ネットワークという名称で、労働者がメインだったんです。でも、実際には移住労働者の家族など、労働者に限らない課題にも対応しているので、NPO法人化した2014年に、『移住者』と変えました。海外の会員もあわせて個人が400人超、団体が100団体ちょっと入っています。研究者もかなり多いんです。移住連は、毎年、省庁と交渉をしているので、統計などの情報も持っていますから」

 移住者という広い括りの中にどんな人たちがいるのか、すでに今回の連載で解説した。本当に様々な出自の人たちが、様々な時期に日本に来ていることは、あらためて見ると驚くべきことだ。そして、やってきた人たちは、日本で家族形成をしたり子育てをするなどして、ぼくたちの社会に根付いている。移住連がひとつの団体としてすべてにかかわるというよりは、日本各地でそれぞれの問題に対峙している様々な団体や個人がネットワークを作っているというイメージだ。