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 そのようなわけで、日本において、3世以降が社会に出てくるような比較的古い時期の「移民」について、「ルーツを奪われる」あるいは「ルーツを隠蔽せざるをえない」「過剰に同化しようとせざるをえない」ような状況が起きていることは覚えておいた方がいい。

 そして、その上で、前回の話題だった「日本の移民史」をさらにたどっていく。

 もともと、ぼくは「留学」「研修」「技能実習」「特定技能」といったことについて混乱しているのだが、ここから先、まさにそういったことに直接関係していく。

「まず、留学生です。1983年に大学の国際化をめざして『留学生10万人計画』が出されたのですが、当初はあまり増えませんでした。その後、18歳以下人口が減少し、定員割れに悩む大学が積極的に受け入れるようになり、次第に留学生が増加し、2008年には『留学生30万人計画』が策定されました。そして今、実際に30万人ほどの留学生がいます。『留学』の在留資格だと、原則、週28時間(以前は週20時間)のアルバイトが認められるので、彼ら彼女らは飲食店などのサービス産業の貴重な労働力になっています」

 ぼくが近所のコンビニで頻繁に見るようになったのは、週に28時間の枠内でアルバイトをしている留学生だ。このところ存在感が増しているのは、よく報じられるようにコンビニのアルバイト不足で、複雑な対応が必要な接客の現場でも積極的に雇用されるようになったからだろう。

 しかし、留学生はあくまでも留学生だ。勉学が本分なので、労働力としてあてにするのは本末転倒だ。彼ら彼女らが、就労するのはあくまでも将来のことなのだ。

 ちょうど80年代後半、バブル景気の労働力不足が問題になった頃、それを埋めたのは、就労できる在留資格を持たない「非正規滞在者」だった。

「短期滞在(観光)などの資格で来て、そのままオーバーステイしていくケースです。当時は、入国管理も今ほど厳格ではなく、観光ビザで入ったまま働く人たちがいました。3K(きつい、きたない、危険)と呼ばれるような、日本人労働者が敬遠するような職場を、そういった外国人労働者が支えていたのです。1993年の時点ではおよそ30万人いました」

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