第2回 昭和、平成、令和―日本に来た様々な「移民」たち

 文科省が2017年に発表した2016年度調査の結果を見たところ、「日本語指導が必要な児童生徒数」は、外国籍の場合、3万4000人あまりだった。一方、日本国籍でも、9600人おり、10年前に比べて2.5倍にも急増している。日本国籍を持っているという意味での日本人だからといって、日本語ができることになってしまうと、これらの児童生徒たちはなんの支援もなく放り出されることになりかねない。やはり、それだけの多様性をぼくたちの社会が持っていることを知らねばならない。文科省のデータ(※)はそういった現状を垣間見させてくれる。

 とすると、今、日本には、どんな「移民」がいるのだろうか。あるいは、いずれ「移民」になるかもしれない「外国人」はどんなかたちでここにいるのだろうか。

 前回、「留学」「研修」「技能実習」「特定技能」という在留資格をあげて、それらがこんがらがって理解しにくいと言ったけれど、これらは主にここ30年程度の話だ。しかし、第2世代、第3世代まで考えるというと、それよりも前からある歴史的な経緯を含めて、見取り図を描いておかなければならなくなる。というわけで、あえて遠回りして、歴史的な経緯を見ていきたい。

「じゃあ、私が講義で使っている資料をお見せしますね」と鈴木さんはプリンタで資料を打ち出してくれて、ぼくはそこから講義を受けるモードになった。

「日本は、歴史上、移民を送り出す側の国だったので、移民(外国人)を受け入れる側になったのは、比較的最近です。けれども、移民受け入れを考えるにあたって、まず、覚えておかなければならないのは、旧植民地出身の人たちのことだと思います。日本の移民研究の中では、オールドタイマーとか、オールドカマーと呼ばれていて、つまり、戦前から日本に居住している旧植民地出身者とその子孫のことです。戦後、日本が主権を回復したと同時に日本国籍を失い、『外国人』となってしまった人々で、多くが朝鮮半島にルーツを持つ、いわゆる『在日コリアン』です」

 オールドタイマー・オールドカマーという言葉は、当然、ニューカマーと対になっていて、後者は戦後新たに来日した外国人を総称するものなので、旧植民地出身者は、日本の移民受け入れの歴史の中で、一大分野だ。

※「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(平成28年度)」の結果について」(文部科学省) http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/29/06/__icsFiles/afieldfile/2017/06/21/1386753.pdf