第6回 恐竜が絶滅した「瞬間」の化石が見つかった!

「このサイトは、デンバー自然科学博物館のチームが数年前に見つけた新しい化石産地なんです。ちょっとおもしろいことが分かりそうなので、まず全体的にドローンを飛ばして、この地域一帯のデジタルマップをつくって、それでこの地層があって、ここからはイリジウムが出てくるとか、衝撃石英が出てくるみたいなことをマッピングしています。今、科博の地学研究部の佐野貴司さんたちが年代測定をいろいろやっているところなんですけど、要するに隕石が衝突して数万年ぐらいの変化を辿れそうなんです。その前後で、こんな爬虫類、哺乳類たちがいましたよっていうのがようやく分かり始めたと」

 にわかに興奮を覚える。

 隕石衝突後の変化を数万年レベルの時間解像度でたどることができるというのだ。真鍋さんは、北米だけでなくアジアでもこの時代の証拠を得ることの大切さを説いたけれど、一番、よいデータを得られる北米でも、さらによい発掘がなされている。

6600万年前の出来事はどこまで詳しく分かるのだろうか。
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「以前から分かっていたこととしては、たとえば、K/Pg境界よりも下の白亜紀であれば、木のうろみたいなところに恐竜が巣をつくっていて、同じところから、恐竜たちが食い散らかしたらしい哺乳類や他の爬虫類の骨が散乱しているような状況も見つかります。そして、この新しいサイトでは、K/Pg境界よりもすぐ上のところで、哺乳類が木のうろのところに巣をつくっているんです。で、食べ散らかされてるのが、ワニだった可能性があります。そういったパワーシフトが起きたのが、本当に数万年なのか1万年なのか、もっと短い数千年のスパンなのか、今、年代測定をやっているところなんですが、結構すぐにシフトが起こっていたらしいというのが垣間見えるようになってきたんですね」

 この話題はまだ論文になっておらず、「恐竜博2019」では詳しくは紹介されていない。きっと次の恐竜博で取り上げられる大きなテーマになるかもしれない。

 それにしても、こういう話は本当に頭がくらくらする。

 隕石衝突による恐竜の絶滅など、はじめて聞いた時は、「そんなことがあったのかもしれないけど、きっと細かいことは分からないだろうし、だから、なんでも言えちゃうよな」という気もした。しかし、実際のところ、科学者というものは、細かい証拠を積み上げて、反駁の余地がない領域にまで証拠がためをしてしまった。そして、今、数万年どころか、ひょっとする数千年のレベルでの議論ができるようになっているのだ。