「隕石説が出てくる前、白亜紀末に恐竜が絶滅したことをみんなどういうふうに理解していたかといいますと、火山活動が関係しているのではないかというのが有力でした。インドのデカン高原は、いわゆる溶岩台地で、ちょうど白亜紀末に大きな活動がありました。そうするとガスも出てきていろいろな物質が大気圏で噴き上げられて、それが地球全体を覆ってしまって太陽光線が届きにくくなるとか、そういうような変化から寒冷化が起こって、それまで大繁栄していた恐竜が徐々にいなくなってしまったということです。だから、ここから後の時代を新生代と呼びましょうねっていうふうになっていたわけです」

隕石衝突説が出てくる前は、火山活動が恐竜絶滅の原因とされていたという。
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 白亜紀末は、もっと大きな時代区分である「中生代」の終わり、でもある。恐竜が出現し、繁栄し、絶滅した中生代は、三畳紀、ジュラ紀、白亜紀からなっており、合わせると1億9000万年の永きにわたった。そして、中生代の終わりでもある白亜紀末、なにがしかの理由で環境が激変して大量絶滅が起きた。それ自体が、地質時代の区分の定義に関わるほどの大きな出来事だ。ただ、突然に起きた隕石衝突のようなイベントで一気にいなくなるようなことまでは想定されていなかったのだという。

「それで、アルバレズさんたちの隕石説が出てきたときに、多くの人たちは『そんなわけはない』と思ったわけです。隕石が衝突して地球環境がガラッと変わって恐竜が絶滅したら、恐竜の多様性はぎりぎりまで高いところにあって、隕石が衝突した後でストンと落ちるはずであると。しかしながら、今までの化石の出方を見ると、白亜紀末に向けてだんだん多様性が下がってきていなくなっている。つまり、隕石では説明できないし、もしかして百歩譲って隕石がとどめを刺したとしても、まあ、主因としてはその前に何か別の現象があったはずだと多くの研究者が思ったんですよ」

 この時点で、隕石説については、大きく分けて2つの論点があったと考えるとよい。

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