新型コロナの広がり方:再生産数と「密」という大きな発見

 COVID-19の感染力と感染の仕方について。

 専門家会議の記者会見を聞いたり、メディアの解説を読んだことがある人は、すでに何度も目にしていると思うけれど、ウイルスなり細菌なり病原体の感染力は、再生産数Rで表される。

 おさらいも兼ねて、まずはそこから。

「基本は簡単です。感染力の指標、再生産数Rは、リプロダクションナンバーなので、Rです。意味は、一人の患者が治癒するまでの間、平均何人の患者に感染させるか、ということです。で、よく言われるR0(専門家はアールノートと読むが、アールゼロでも通じる)、基本再生産数というのは、流行当初、誰も免疫を持っていないところに一人の患者が入った時の再生産数です。で、流行が進んで、免疫を持っている人が増えたり、ワクチンを打つなどの対策がなされたりした後の再生産数が、RtとかReとか言われるもので、記号はテキストによって違います。日本語では、実効再生産数です」

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 再生産数Rには、興味深い性質があって、1を超えるか、それ未満かによって、決定的に「その後」が違ってくる。

 例えば、基本再生産数R0が1に満たない感染症が、その感染症を経験したことがない集団に入ってきた時、最初の感染者が、1人未満の感染者しか生み出さないとしたら、すぐに感染のリンクが途切れてその感染症は消滅してしまうだろう。しかし、1人が2人を感染させていけば、ネズミ算式にどんどん数が増えていく。

 パンデミックになるような感染症はR0が1以上であることは間違いなく、今、ぼくたちは「行動変容」によって、この実効再生産数を1よりも小さくすべく努力しているところである。

 再生産数Rにまつわる用語の理解としてはざっとそんなところだ。

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