新型コロナ、年齢や持病など「重症化リスク」の真相

 なお、ここであらためてインフルエンザとの比較をしておくのもよいだろう。季節性インフルエンザの年齢別致命割合(CFR)はきちんとした数字が出ていないので、2009年のH1N1インフルエンザのパンデミック(日本では一般の人は忘れていることも多いが、これもパンデミックになった)の際、10代、20代の致命割合(CFR)は、日本では0.0001パーセントから0.0005パーセントだった。COVID-19の0.2パーセントと、実に3桁も違う。

中国武漢のCFRと比較した場合。
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「もう、これは比べる意味があるんだろうかというほどの差がありますよね。2009年のH1N1は、2011年3月から季節性インフルエンザとして扱われるようになったので、これも、その意味ではひとつの季節性インフルエンザの致命割合として見てもいいかもしれません」

 なお、2009年のH1N1インフルエンザの致命割合は、日本よりも世界各国で高く、ニューヨークでのデータでもそれが確認できる。それでも、COVID-19と比ぶべくもない。結局、年齢の高い低いにかかわらず、インフルエンザとは何桁も違う致命割合だと考えておいた方がよい。

「もし2009年のH1N1インフルエンザと同じように、大雑把に考えて世界人口の1/5が罹患する(確定診断される)としたら、それはトータルで14億人にものぼります。そこにCFRが2パーセントもあったら死者は2800万人です。それこそスペインかぜに匹敵する大惨事になってしまうと、これを見るだけでも危機感がつのります」

「持病なし」の致命割合0.9%をどう見るか

 重症化因子について、もう少し詳しく見た研究があるので、そちらも見ておこう。

 年齢にまつわることだけではなく、他の指標についても検討しており、これから様々な報告に接する際にも役立つ、ひとつの「見方」として参考になるのではないかと思う。

「さきほど見た中国CDCによる数万人規模の患者データのサマリーでは、何も基礎疾患がなくても致命割合(CFR)が0.9パーセントなのに対して、基礎疾患として高血圧がある人は6.0パーセント、糖尿病がある人は7.3パーセント、心疾患がある人は10.5パーセント、慢性呼吸器疾患がある人は6.3パーセント、がんがある人は5.6パーセントと高くなっています。これは基礎疾患があるとやはり致命割合が高いというふうにニュースになっていましたし、そのとおりなんですが、基礎疾患がなくても0.9パーセントが亡くなるというのも高いと言わざるをえないと思います」

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 たしかに、高血圧、糖尿病、心疾患、慢性呼吸器疾患、がんを基礎疾患として持っていると致命割合が5~10倍に跳ね上がることは覚えておくべきことだ。しかし中澤さんの見立てでは、そこに気を取られて「基礎疾患がなければリスクが低い」と考えるのは間違いだ、ということである。

 さらに、もっと臨床的な検査の数値を見た場合の重症化因子も探索されている。

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