新型コロナ、年齢や持病など「重症化リスク」の真相

 前回、致命割合について注意しなければならないことについて確認したので、今回はもう一歩進んで病原性の年齢差について。

 若者は重症化しにくいとか、高齢者は重症化しやすいというのは、どの程度本当なのだろうか。これについては、中国での年齢別の致命割合(CFR)が報告されている。CFRについては前回大切な議論をしたので、今回からの読者はぜひ参照のこと。

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「2月11日までのデータが、中国CDC(疾病対策センター)の週報(※1)に出て、COVID-19の年齢別の致命割合(CFR)が明らかになりました。たしかに年齢とともにリスクが上がっていきます。80歳以上で確定診断がついた患者の15パーセント近くが亡くなります。一方、10代から30代までが0.2パーセント、40代が0.4パーセントでした。たしかに高齢者よりも低いですが、これも決して低いわけじゃないんです。誰でもかかるような病気で、10代、20代の若者が0.2パーセント、1000人に2人亡くなるというのは、やはり大変なことですよ。この年齢別のCFRが報告された時には高齢者のリスクが高いということばかり強調されて報道されたんですが、若者が0.2~0.4パーセントというのは決して低くないというのが公衆衛生学的なセンスだと思います」

 この場合、「だれもがかかりうる病気」であることが、ひとつの大きな要素だ。10万人に1人しかかからない病気で0.2パーセントの致命割合なら、絶対数としては多くならない。その病気で亡くなるのは、1億人の中で2人だ。当事者や家族友人にとっては悲劇だが、「全体」を見る公衆衛生学的な視点からはマイナーな問題になる。

 一方で、COVID-19の場合は、文字通りだれもがかかりうる。ワクチンなどがうまく開発できない場合、集団免疫が確立するまで人口の半分以上が感染してやっと収束することになるだろうし、あまり考えたくないが、感染しても免疫が確立しない場合や、免疫がすぐに弱くなってしまう場合など、本当にほとんど全員がかかることになるかもしれない。

 例えば、今、日本全国の10代と20代は、それぞれざっくり1000万人いる。そのうち、集団免疫ができる6~7割が感染したとすると、どうなるだろう。さきほどの0.2パーセントというのはCFRだから、これを直接掛けるのはまずい。そこで、IFRは算出されていないか探したところ、同じ論文の中に10代のIFRは約0.007パーセントで、20代は約0.03パーセントとあった。これで計算すると、10代から20代では2200~2600人くらいが亡くなることになってしまう。今の時代に、数千人単位の10代~20代の若者が、ごく短い期間に感染症で亡くなるというのは、ちょっと考えたくない水準ではないだろうか。

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(※1)doi: 10.46234/ccdcw2020.032

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