あなたの知らないアイスロード

木製のスキーをはいた年代もののブッシュ・プレイン
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 極北の地で生み出された知恵の1つに、小型の飛行機「ブッシュ・プレイン」がある。19世紀にゴールドラッシュが起きたとき、イエローナイフには都市部とつながる鉄道や道路はもちろん、飛行機が離着陸できる滑走路すらなかった。そこで活躍したのが、ブッシュ・プレインであり、腕利きの操縦士ブッシュ・パイロットだった。

 「ブッシュ(未開発地)」の名の通り、怖いもの知らずのパイロットたちは、夏は飛行機にフロートを、冬にはスキーを取り付け、湖面や雪原を使って見事に離着陸してみせた。運んだのは一獲千金を夢見る男たちや、彼らが極寒の地で生き抜くための物資である。

 このあたりには、「鉱山で生まれた子どもはブッシュ・プレインで育つ」という言い方がある。かつてゴールドラッシュをきっかけにイエローナイフの鉱山に集まった人々の移動手段は、夏はカヌー、冬は犬ぞり、遠くに行くときはブッシュ・プレインだった。

 そんな環境のなかから、腕利きのブッシュ・パイロットが生み出される。フライトはいつも危険と隣り合わせだった。ベテランのパイロットの間では「飛行機が壊れても、ばんそうこうとチューインガムがあれば何とかなる」というジョークが語られる。

 たった1人で極北の空を飛ぶのだ。トラブルがあっても自分で何とかするしかない。そんな覚悟がこもったジョークなのだろう。

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