あなたの知らないトーテムポール

バンクーバーのスタンレーパークにあるトーテムポール
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 キャプテン・クックの名前は聞いたことがあると思う。「ハワイを発見したイギリス人の船乗り」と言えばいいだろうか。日本でも出版されている航海日誌によると、クック船長の艦隊がBC州沿岸に到達したとき、先住民は既に鉄のナイフや「のみ」を持っていた。その形状は、どう見てもヨーロッパのものとは違っていたという。

 さらに先住民は、クック艦隊の船に乗り込むと、しきりに木造船の各所に使われている鉄を欲しがり、ちょっと目を離すと勝手に船体から鉄をはがして持って帰ってしまったそうだ。これこそが、船に鉄が使われているのを先住民が既に知っていた証(あかし)だろう。

 東日本大震災の後、日本からのさまざまな漂流物がBC州沿岸に流れ着き、カナダの方々には随分と迷惑をかけてしまった。このことは当時、ニュースでも報じられた。そのときと同じように、かつて千石船のような日本の船が難破し、黒潮に乗ってカナダの太平洋沿岸まで運ばれたとしても、決して不思議ではない。

 黒潮は日本列島の南からBC州沿岸へと向かい、そこに温かな空気と水蒸気を吹き込んで巨木の森が育つ。それだけにとどまらず、鉄を使った日本の難破船をもカナダに運んだ可能性がある。先住民は海からもたらされた鉄を加工して「ナイフ」を作り、巨木を削っていたかもしれないのだ。いわば黒潮が、この地の自然と文化を育んだようなものだ。

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