あなたの知らないカナディアンカヌー
カナダの国土面積は日本のおよそ27倍。ロシアに次いで世界で2番目に広い。国内には6つの時間帯があり、東西の時差はなんと4時間半もある。そして、これだけ広大な国土のうち、湖だけに限っても約7.6%もあり、「水」が占める範囲が広い。
列車も自動車も飛行機もなかった時代、長距離を移動するとすれば、例えば馬に乗ることが考えられる。しかしカナダでは、至る所で湖や川という「水」に行く手を阻まれる。だから、カナダでの移動には水上交通が適しているのだ。
ただし、それだけなら移動手段はカヌーでなくても、もっとがっしりした造りの木造船でいいはずだ。しかし「水」が占める範囲が広いといっても、実際にはすべての「水」がつながっているわけではない。
川や湖はどこかで必ず途切れるし、「水」には滝や急流などの難所もある。そんなとき、樹皮でできた軽量のバーチ・バーク・カヌーは、かついで陸上を移動することができた。これが重たい木造船にはできない芸当であることはいうまでもない。
だから先住民は、自ら生み出した水陸両用のバーチ・バーク・カヌーで、カナダの大地を縦横無尽に移動していた。そして、あとからこの地にやって来たヨーロッパ人も、この便利な乗り物を使って広大な大地を移動するようになった。
カナダのキャンプ地には、カヌーを担いで木々のなかを歩いて移動する「ポーテージ」のコースが設けられている。ポーテージこそ、もっともカナディアンカヌーらしい楽しみ方なのだろう。