あなたの知らない『赤毛のアン』

「ポテトミュージアム」と巨大なジャガイモのオブジェ
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 アンの島でもあり、名前からしておしゃれなイメージがあるプリンス・エドワード島だが、意外なことにその特産品はジャガイモだ。なにしろ、日本の愛媛県ほどしかないこの小さな島が、カナダ全体のジャガイモ生産量の実に3割を占めているのだ。

 おいしいジャガイモを生み出す要因の一つが、鉄分を多く含む島独特の赤い土。アンも初めて見た時、なぜ土の色が赤いのか、しきりに不思議がっている。

 『赤毛のアン』の時代からジャガイモは島の特産品だったようで、今年の出来を話し合ったり、船にジャガイモを積み込んだりする場面も出てくる。また、アン・シリーズの3作目「アンの愛情」では、大柄なアンの友達が、島外の人から、ジャガイモばかり食べて大きくなった島育ちと思われるのではないか、などと心配する場面もある。

 そして、おいしいジャガイモは島の人たちの誇りでもあるようで、島の西部、オレアリーには「ポテトミュージアム」というマニアックな博物館もある。

 建物の前には巨大なジャガイモのオブジェが展示され、入り口には世界的に有名なPEIのジャガイモ、といった文言が見て取れる。ちょっと失礼ではあるが、正直、世界的にはさほど知られていないだろう。

 館内では、押して進むと板が羽のようにバタバタと上下に動き、ジャガイモの葉や茎についた虫を追い払う道具など、興味深い展示品が並んでいる。

 ジャガイモとともに歩んできた島の歴史にしばし思いを馳せるのも悪くない。

この連載はカナダ観光局の提供で掲載しています。

著者 平間俊行(ひらまとしゆき)

ジャーナリスト。1964年、宮城県仙台市生まれ。報道機関での勤務のかたわら、2013年から本格的なカナダ取材を開始。歴史を踏まえたカナダの新しい魅力を伝えるべく、Webサイトや雑誌などにカナダの原稿の寄稿を続ける。2014年7月『赤毛のアンと世界一美しい島』(マガジンハウス)、2017年6月『おいしいカナダ 幸せキュイジーヌ旅』(天夢人)を出版。

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