あなたの知らない『赤毛のアン』

アンがマシュウの馬車でグリーン・ゲイブルズに向かうシーンを再現したフィギュリーン(土人形)
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 『赤毛のアン』、原作名『Anne of Green Gables』の作者ルーシー・モード・モンゴメリは、スコットランド系のカナダ人だ。モンゴメリの四代前、曽々祖父母がスコットランドからプリンス・エドワード島にやってきた。ところが、2人の本当の目的地はこの島ではなく、もっと内陸のケベック・シティだったそうだ。

 船で大西洋を渡る際、妻がひどい船酔いになってしまい、給水のために停泊したプリンス・エドワード島で下船すると、夫がいくら説得しても二度と船には乗らなかったという。

 やむを得ずプリンス・エドワード島での暮らしが始まり、四代のちにルーシー・モード・モンゴメリがこの島で生を受けることになる。

 もし船酔いにならずに無事、当初の目的地に着いていたら、アンの物語はどうなっていただろうか。ケベック・シティはイギリスとの戦争に敗れたフランスの拠点だった街。すると、アンの物語には何やらフランス文化の香りが漂うことになったかもしれない。

 あるいは、ケベック・シティからさらに内陸へと進み、カナダ中央部で暮らしていたら、物語の舞台は大平原になっていただろう。

 アンはプリンス・エドワード島のアヴォンリー村の湖や森に、「輝く湖水」や「恋人の小径」、「お化けの森」といった名前をつけていくのだが、もし大平原だったらそれはできない相談だ。なにしろ見渡す限りの小麦畑。アンの想像力をもってしても、360度同じ風景からユニークな名前を紡ぎ出すことは難しかっただろう。

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