「生命の起源を研究したいという時に、『生命の起源学』というものがあればぼくはそこに行ったと思うんです。でも、生命の起源研究というのは、つまるところ宇宙生物学でした」

 東京工業大学地球生命研究所(ELSI)の藤島皓介さんは、ぱっと聞く限りには謎めいたことを言う。

 けれど、前回、宇宙生物学の不思議な成り立ちについて少しでも思いを巡らした人なら、「生命の起源学」が、必然的に「宇宙生物学」につながっていくことが分かるだろう。生命を形作る分子の起源や、生命が生まれた場所などの議論は、少なくとも惑星科学のスケールの視野を持たざるをえないし、場合によっては、太陽系、銀河系、宇宙全体の物質進化、分子進化の話にまで一気につながってしまうのだから。

 藤島さんの目からみた、宇宙生物学の総本山エイムズ研究センターの様子をまずは聞いてみよう。

東京工業大学地球生命研究所で宇宙生物学を研究している藤島皓介さん。
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「宇宙生物学、アストロバイオロジーという言葉が公式に使われるようになったのは、1995年、エイムズ研究センターだったと言われています。これからは宇宙生物学が大切で、エイムズ研究センターを拠点にすると当時のNASA長官のダニエル・ゴールディンが記者会見で宣言しました。それまでは地球外生命学、エクソバイオロジーと呼ばれていた研究分野が新しい枠組みで捉え直された格好です。NASAにしてみると、今後100年の取り組みを考えた時に、宇宙探査を続けていくとしたら、いつか生命探しが本流となるだろう、という判断でした。かりに太陽系内外で2例目の生命が見つかったとしたら、間違いなく今後100年、そこに探査機を送り続けることになるでしょうし、そういう戦略的な部分があったと思います」

 とにかくここでは、宇宙生物学の「キックオフ」の瞬間には「第二の生命」探し、あるいは生命を育む可能性のある惑星探査が中心的な課題として意識されていたことを覚えておきたい。

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