第1回 そもそも「宇宙生物学」って何ですか?

 古細菌は、真核生物、細菌とならんで、地球の生物界を3分するグループのうちの一つで、高度好塩菌、メタン菌、好熱菌、高圧菌など、極限環境微生物の研究から見つかった。真核生物の「大先祖様」だから、ひょっとすると生命の共通祖先に近いかもしれないという魅力がある。また、極限環境で生きられることから「別の惑星でも……」といった妄想を抱かせられる存在でもある。

 では、セントラルドグマとはなんだろう。

「DNAという遺伝情報を格納する高分子があって、これはいわばタンパク質の設計図を保管している図書館のようなものです。そこからRNAというものに一時的にその設計図がコピーされ、リボソームといういわば工場みたいなところでタンパク質をつくります。設計図を転写して持ってくるのがmRNA(伝令RNA)で、その設計図に応じたアミノ酸を一つ一つ連れてきてつなげるのがtRNA(転移RNA)ですね。こういった一連の遺伝情報を変換する仕組みをセントラルドグマと呼んでいます。生命の共通祖先は38億年ぐらい前に存在していたと言われていますが、38億年前の生命が既にこの仕組みを持っていたという事実が非常におもしろいなというところで、研究をはじめました」

Proteinはタンパク質。(画像提供:藤島皓介)
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 セントラルドグマは地球生命が持つ共通の仕組みであって、博士研究で扱うテーマとしては「大きすぎる」どころか「恐れ多い」とすら感じる人も多いはずなのだが、藤島さんは成し遂げた(日本の大学の博士論文でタイトルに"central dogma"という語が入っているのは、今のところ藤島さんの論文だけだ。国立国会図書館の博士論文検索で確認)。そして、リボソーム、mRNA、tRNAといった生命の起源を問う時に頻出するキーワードもここですでに登場する。

 また、藤島さんの博士論文には、システム生物学的なアプローチ“Systems biology approach” という言葉もある。これはどんな意味だろう。